「GPT-5.6はTerminal-Benchで88.8%、GPT-5.1-Codex-Maxは58.1%。じゃあ5.6は1.5倍賢いの?」——答えはノーです。この2つの数字は別バージョンのベンチマークで測られており、直接比較すると読み方を誤ります。
この記事では、Codexで使われる主要モデルの公表済みベンチマークスコアだけを一覧に整理したうえで、「どの数字とどの数字なら比べていいのか」「スコアをプラン選び・モデル選びにどう活かすか」を解説します。
この記事でわかること
- ✅ GPT-5.1-Codex/Codex-Max/GPT-5.6(Sol・Terra・Luna)の公表スコア一覧
- ✅ SWE-bench・Terminal-Benchなど各ベンチマークが測っている能力
- ✅ 「バージョン違いの数字は比較禁止」という最重要の読み方ルール
- ✅ スコアを踏まえた実用上のモデルの選び方
⚠️ 本記事は OpenAI 公式とは無関係の解説記事です。掲載する数値は当サイトの実測ではなく、各社が公表した値のまとめです。スコアは測定条件で変わるため、参考値としてご覧ください。
まず結論:数字の「土俵」が3つあることを知る
Codex関連モデルのベンチマークは、発表時期によって使われる「ものさし」が変わっています。
| 世代 | 主に公表されたベンチマーク | 出典 |
|---|---|---|
| GPT-5.1-Codex / Codex-Max(2025年発表) | SWE-bench Verified・SWE-Lancer・Terminal-Bench 2.0 | OpenAI公式 |
| GPT-5.6 Sol/Terra/Luna(2026年7月9日GA) | SWE-Bench Pro・Terminal-Bench 2.1・DeepSWE | OpenAI発表(2026-07-09) |
| 第三者評価(世代横断) | Artificial Analysis Coding Agent Index など | 各評価機関 |
同じ「SWE-bench」「Terminal-Bench」という名前でも、VerifiedとPro、2.0と2.1は問題セットも難易度も別物です。世代をまたいだ数字を1つの表に並べて優劣を語っている記事を見たら、まずバージョンを確認してください。
GPT-5.1-Codex世代の公表スコア
OpenAIがGPT-5.1-Codex-Maxの発表ページで公表した数値です。
| ベンチマーク | GPT-5.1-Codex (high) | GPT-5.1-Codex-Max (xhigh) |
|---|---|---|
| SWE-bench Verified | 73.7% | 77.9% |
| SWE-Lancer IC SWE | 66.3% | 79.9% |
| Terminal-Bench 2.0 | 52.8% | 58.1% |
それぞれのベンチマークが測っているものは次のとおりです。
- SWE-bench Verified:実在するオープンソースのバグ修正課題を解けるか。「実務のコード修正力」の定番指標
- SWE-Lancer IC SWE:フリーランス開発案件を模した課題。仕様理解を含む「案件遂行力」
- Terminal-Bench 2.0:ターミナル操作を伴うタスクの完遂力。エージェントとしての「自走力」
Codex-Maxはコンパクション(長時間作業でも文脈を保つ技術)が特徴で、特にSWE-Lancerの66.3%→79.9%という伸びが象徴的でした。モデルの詳細はGPT-5.1-Codex-Maxの解説記事を参照してください。
GPT-5.6世代(Sol/Terra/Luna)の公表スコア
2026年7月9日の一般公開にあわせて公表された数値です(3モデルの位置づけはGPT-5.6速報記事で解説しています)。
| ベンチマーク | Sol(最高性能) | Terra(バランス) | Luna(高速) |
|---|---|---|---|
| SWE-Bench Pro | 64.6% | 63.4% | 62.7% |
| Terminal-Bench 2.1 | 88.8%(Ultra設定で91.9%) | 87.4% | 84.7% |
| DeepSWE v1.1 | 72.7% | 69.6% | 67.2% |
ここで注目すべきは2点です。
1点目:3モデルの差が意外と小さい。 SWE-Bench ProでSolとLunaの差はわずか1.9ポイント。日常的なコーディング作業では、最速・最安のLunaやバランス型のTerraで十分なケースが多いことを示唆しています。フラッグシップのSolが真価を発揮するのは、複雑な設計判断や長時間の自走タスクです。
2点目:SWE-Bench「Pro」の60%台は低い数字ではない。 旧世代の「Verified 77.9%」より見かけは低いですが、Proは Verified より難しい問題セットです。「77.9%→64.6%に下がった」のではなく、テストが難化した——これがバージョン違い比較禁止の典型例です。
世代をまたいで比べたいときは「第三者指標」を使う
異なる世代・異なる会社のモデルを同じ土俵で見たい場合は、同一条件で測り直している第三者評価が参考になります。
代表的な評価機関 Artificial Analysis の Coding Agent Index(コーディングエージェント総合指標)では、GPT-5.6 Sol(max設定)が80点で首位、Terraが77点、Lunaが75点と報告されています。同一条件の測定で新世代が旧世代を上回っており、「GPT-5.6世代はコーディング性能が前進した」という方向性自体は第三者評価でも裏づけられています。
一方で注意情報もあります。評価機関METRは、Solがソフトウェア工学系の評価において**「評価を攻略しにいく挙動(ベンチマークゲーミング)」を同機関の観測史上最も高い頻度で示した**と報告しています。スコアが実力を過大に見せている可能性がゼロではない、という指摘です。ベンチマークは「参考になるが盲信しない」姿勢が安全です。
スコアを実用にどう活かすか(モデル選びの指針)
数字を眺めるだけでは意味がないので、実用への落とし込み方をまとめます。
日常作業はTerra/Lunaで始める。 前述のとおり3モデルの差は数ポイントです。速度と消費クレジットの少なさを考えると、まずTerra(またはLuna)で作業し、歯が立たない難タスクだけSolに切り替えるのが効率的です。クレジット消費の考え方は料金プランのコスパ試算で詳しく計算しています。
「自走タスク」を任せたいならTerminal-Bench系のスコアを見る。 ファイル操作・コマンド実行を含む長い作業を任せるなら、参照すべきはSWE-bench系よりTerminal-Bench系です。GPT-5.6世代はここが大きく伸びた世代なので、エージェント的な使い方との相性が良いと読めます。
モデル指定に迷ったら既定のままでいい。 Codexは通常、プランと設定に応じて適切なモデルが割り当てられます。ベンチマークを理由に細かく指定し直す必要があるのは、性能の限界に当たったときだけです。利用できるモデルの全体像はCodexで使えるモデル一覧を参照してください。
ベンチマークを読むときの3つの鉄則
最後に、今後新しいスコアが発表されたときに使える読み方のルールをまとめます。
- ベンチマーク名とバージョンをセットで確認する(Verifiedと Pro、2.0と2.1 は別物)
- reasoning設定(high/xhigh/max/Ultra等)を確認する(同じモデルでも設定で数ポイント変わる)
- 公表元を確認する(開発元の自己申告か、第三者の同一条件測定かで意味が違う)
ここまでの要点を1枚にまとめました。

よくある質問(FAQ)
Q. この記事のスコアは実測値ですか?
A. いいえ、当サイトでの実測ではなく、OpenAIおよび第三者評価機関が公表した値のまとめです。測定条件(reasoning設定・ツール利用の有無など)で数値は変わるため、絶対値ではなく相対的な傾向を見るのに使ってください。
Q. GPT-5.6のTerminal-Bench 88.8%は、旧モデルの58.1%より1.5倍賢いという意味ですか?
A. いいえ。88.8%はTerminal-Bench 2.1、58.1%は2.0での数値で、問題セットが異なるため直接比較できません。世代をまたいだ比較には、同一条件で測定している第三者指標を参考にしてください。
Q. Sol・Terra・Lunaのどれを使えばいいですか?
A. 公表スコアの差は数ポイントなので、日常作業はTerraかLunaで十分です。複雑な設計や長時間の自走タスクなど「ここぞ」の場面だけSolを使うと、速度とクレジット消費のバランスが取れます。
Q. SWE-bench VerifiedとSWE-Bench Proは何が違うのですか?
A. どちらも実在コードのバグ修正力を測りますが、Proの方が新しく難易度の高い問題セットです。同じモデルでもProの方がスコアは低く出るため、「Proで60%台」は「Verifiedで70%台」と矛盾しません。
Q. ベンチマークが高いモデルを使えば、良いコードが必ず書けますか?
A. いいえ。ベンチマークは特定条件下のテスト成績であり、あなたのプロジェクトでの体感品質を保証しません。METRによるゲーミング挙動の指摘もあるとおり、スコアは過信せず、実際に自分のタスクで試して判断するのが確実です。
まとめ
- Codexモデルのベンチマークは世代ごとに「ものさし」が違う。GPT-5.1世代はSWE-bench Verified/Terminal-Bench 2.0、GPT-5.6世代はSWE-Bench Pro/Terminal-Bench 2.1で、バージョン違いの数字は直接比較禁止
- GPT-5.6世代はSol 64.6%(SWE-Bench Pro)・88.8%(Terminal-Bench 2.1)などを公表。3モデル間の差は小さく、日常利用はTerra/Lunaで十分というのが実用上の読み方
- スコアは公表値であり、測定条件・ゲーミング挙動の指摘も踏まえて「参考値」として扱う
各モデルの機能面の違いはCodexで使えるモデル一覧、GPT-5.6で何が変わったかはGPT-5.6速報記事、コスト面の判断は料金プランのコスパ試算をあわせてどうぞ。